ありのままの感想

映画の感想を書いています。

Little Birds-イラク 戦火の家族たち

人は戦争をするために生まれたんじゃない。断片的な情報を鵜呑みにするのは好きじゃないけど、この目でしっかりと受け止めることも必要だと思う。明るい未来を作っていくために。

 

観始めてすぐに、これは凄いドキュメンタリー映画だと予感しました。先に観た「生命(いのち)-希望の贈り物」では感じることのできなかった感覚です。これは本気でスクリーンに向かい合わないと負けてしまう。それくらいに力強さを感じました。

 

イラク人から日本人への問いかけ、監督・撮影者の綿井さんからアメリカ兵への問いかけ。きっと誰もが気づいている、わかっているはずなんだ。だけど、止まることなく繰り返されてしまう。その結果が、スクリーンから痛いくらいに伝わってきました。

 

僕ら一般人が耳にする情報は断片的なものだし、それが全てとは限らないし、正しいとも限らない。だから鵜呑みにはしたくない。だけど、間違いなく言えること。戦争は正義ではない。続けてはならない。そんなことは日本では小学生だって頭ではわかっているんだけど、止めることができない。どうやったら止められるのかを知らない。

 

世界中が平和になることなんてあり得ないと言う人もいるけど、諦めたら終わりなんだと思います。僕にもできることがあるかもしれない。後世のためにも、みんなが笑えるような明るい未来を作っていくために。

 

スカーレットレター

力尽きた。物凄い映画を観た。体の真ん中あたりを、グサリと何かがエグっていった。愛していたら許されるというのか? 今はただそれだけが、頭の中で響いている。

 

まずは、イ・ウンジュさんのご冥福を心からお祈りします。大好きだった女優で、今作でもかっこよさが溢れていました。この映画での役について思い悩んであんなことになってしまったのだとしたら、本当に悲しく思うし、残念でなりません。

 

ハン・ソッキュもイ・ウンジュも、すげえ力強かった。怖いくらいに二人の気持ちを感じました。深い愛は、いつだって狂気と紙一重・・・。

 

何て言うか、衝撃のラストみたいなものがあるんだろうと予想していたんですけど、それは決してどんでん返しのようなものではなく、数十分に渡りボディブローを浴び続けたような、重たくズシリとやられたラストでした。ドップリと入り込んで観ていたので、めずらしく吐き気にも近いものを感じてしまいました。

 

愛していたら許されるというのか? ボディブローが効いているところに聞こえた言葉。言う前に予想できた台詞だったけど、この台詞が重たく響き渡る。

 

かなり期待していたのですが、期待以上の内容に大満足です。時間を置いてからまた観たいですね。

 

PTU

いやー、最後はどうなるかと思ったよ。笑うしかないラストなんだけど、そこに至るまではかなり引き込まれた。独特の雰囲気もGOOD。

 

なかなかおもしろかったです。先の読めない展開に見事に引き込まれました。スリリングとまでは言えないんですけど、独特の雰囲気があってなかなか好みでした。

 

ところで、PTU(香港警察特殊機動部隊)って凄い部隊なんですね。夜の街を巡回してたと思ったら、組織のアジトの捜査まで。ゲーセンも徹底的に調べるし、道行く怪しいチャリ少年の張り込みも。ほんと、一晩であれこれと起こり過ぎですが、その仕事の幅広さには頭が下がります(^_^)。雨が降ってくると雨具を積んだ車両が部隊のところまで来るんですけど、そんなとこまでシステマチックになっているのには笑っちゃいました。

 

オープニングの食堂のシーンはよかったですね。荒れた一夜の始まり的な雰囲気に、一気に引き込まれました。

 

そもそもこの映画を観たいと思ったきっかけは、チラシなどのメインビジュアルにもなっているルビー・ウォンの存在だったんです。凛々しい感じで出てはいましたが、もっと活躍シーンを観たかったですね。つーか、メインビジュアルの割に、主演じゃないし。

故郷の香り

中盤くらいでラストは読めるんだけど、それでも結構きたね。ストーリーが弱くて眠くもなるんだけど、映像は美しかった。人は変わっていくもんだよ。

 

ちょっと眠かったですね、全体的に。映像は美しいんですけど、ストーリーは淡々としていて眠気を誘う。きっとこんな終わり方をするんだろうなあと考えていた通りのラストなんですが、目には大粒の涙が。結構きましたね。

 

いい映画だとは思うんですが、何か足りない。なんか、自分の過去を思い浮かべながら観ていました。

 

故郷は不変だけど、人は変わっていくもの。環境や接する人によって、時には短期間で変わってしまう。良くも悪くも。僕だって、18歳で東京に出て、1ヵ月後のゴールデンウィークに帰省したとき、彼女に会いたいとさえ思わなかったしなあ。別に東京で新しい彼女ができたわけでもなく、環境も変わり考え方も変わったからなんだけど。まあ、そんなことはどうでもいいか・・・。

 

人間は変わっていくもんですよ。

ビューティフル・デイズ

ビューティフル! 普通に泣いてしまった。やるじゃん、インドネシア。王道なんだけどね。チンタという名前と詩に泣かされた。

 

さて、映画のほうなんですが、存分に楽しませてもらいました。なんか、映画祭に来ているんだっていうことを忘れている僕。それくらい、この映画の放つ眩しさに心奪われました。そして涙(T_T)。いやー、よかったですよ。

 

青春時代の友情や恋。悩みもするし喧嘩もする。王道まっしぐらの映画なんですが、インドネシアから誕生したというのが凄い。そんなこと感じないくらいに、普通に観てました。そして涙(T_T)

 

ランガの父親、よかったですねえ。最後までチンタのことを気にかけている様は、父親の鏡ですよー。僕もあんな父親になりたい(笑)

 

もうこの歳になると、こんな映画観たからって若かった頃のようにはできなかったりするんですけど、この映画観て、心がちょっと潤ったのは確か。インドネシアのことは詳しくないけど、こうやってラブストーリー観て共感できるっていうのは、何だかうれしいですね。身近に感じられます。

9/10

いや、これいいですよ。最高です。限られた空間の中だけで繰り広げられる記憶戦(笑)。オープニングに登場した彼がいつ・・・。もうとにかく引き込まれてしまったわけです。

 

カメラワークが最高によかった。結構な長回しも多用されているし、ひとつの部屋の中で2~3人ごとに散ったシーンでも、向こう側にいるメンツをちゃんと押さえている。限られた空間なのに、映像に飽きてこない。この辺はもう一度観返したいくらいです。

 

にしても・・・。4番の彼は飲みすぎ(笑)。乾杯が済んだとたん、手酌でワインを何本も空けていく。案の定・・・。スクリーンの端にちょっとだけ映り続けていた彼の手酌っぷりは、館もののホラー映画にも似た感覚になりました(笑)。怖いほどの飲みっぷりです。

 

途中からは、ラストの予想などをしながら楽しむわけですが、しかし、人間の記憶ってほんとに曖昧だなあと、自分の7年前あたりを思い浮かべながら確認してみたり。最後はとても不思議な切なさに包まれました。切ないんだけど気持ちいい。ぜひ観て感じてほしいです。

 

ほんとにいい映画でした。こういう映画こそ、たくさんの人に観てほしいし、来年3月まで上映がないなんて信じられません。何よりも、僕がまた観たいと思っていますから。うーむ、この叫びを誰か聞いてくれないかなあ。たくさんの劇場で上映してほしいです。

 

東條監督、すばらしい作品をありがとうございました。監督のブログにトラックバックさせていただきました。

亀も空を飛ぶ

これは衝撃だ。何て言っていいか、言葉が見つからない。こんな映画が作られたのは凄いと思うし、こんな子どもたちの生活があるという現実に、ただただ胸が引き裂かれる想いだ。

 

「明日の朝には全てが終わる」という予言を聞いた途端、どこかに溜っていた涙が一気に溢れてきた。「戦争が終わる」と言っても、子どもたちの地獄のような生活は続いていくだろう。だけど、少しではあるが希望の光をそのシーンに感じることができました。

 

地雷を掘り、それを売ってお金を得る。自分たちの身を守るために銃と交換する。そんな生活を送っている子どもたちがいる。産みたくて産んだのではない子どもと、その母親。足がない子、両腕のない子。そんな世界だ。

 

よくぞこんな映画を作ったもんだと、本当に思います。そこに映る景色はセットなんかじゃなく、リアルな世界。そこで当たり前のように暮らし、それでも笑顔を見せる子どもたちに、何とも言えない想いが込み上げてきます。

 

自分で考え行動する子どもの行く末は? ぜひその目で観てほしいです。